神様2011/川上弘美
くまにさそわれて散歩に出る。
大好きな、大好きな、川上弘美の「神様」の書き出しだ。
その1993年作の「神様」と
2011年の3月に書かれた「神様2011」の2編
そして川上弘美さんご本人の「あとがき」からなる本だ。
「神様」を初めて読んだときに泣いた。
私の大好きなもの、大切なもの、幸せの記憶が、
この話には凝縮されている。
そんな気がした。
読み返してまた、やっぱり涙がでた。
だから「神様2011」を読むのがちょっと怖かった。
「神様2011」は、
震災以来、私自身の抱いてきた、
怒りや、悲しみや、そしてよろこび、
様々な言葉にならない感覚を反映していた。
変わってしまった日常。
大嫌いなもの、目を逸らしたいもの、不幸せの記憶、
実はそんなものと一緒に、
大好きな、大切な、幸せな記憶が存在している。
2編を続けて読んだら、そんな気がした。
それでも続いて行くのが日常だ、と。
川上さんは
「生きることそれ自体がよろこびであるはず。」
と、あとがきの最後を締めくくる。
こういう物語を、文章を、書いてくれる作家がいる。
生きているとこういう物語や文章に出会える。
くまが語った「縁」である。
熊の神様のお恵みが、私の上にも降り注ぎますように。
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